2006 リノ観戦記
<ファイアバードの奇跡>
9/13〜9/16

9/14(木) 水曜日、予選中のエンジンブローから奇跡的に復活した“ファイアバードU”。
木曜朝一で試験飛行に飛び立った瞬間のショットです。
なんでも日本から駆けつけた技術者たち(皆さんご老人)も加わって徹夜で直したそうで、
ピットの話題はこれで持ちきりでした。
何よりも驚いたのは機体が修理どころか改修されていること!
カウリング上部が黒くなっていますが、これはなんとカーボン製で日本から急遽運び込まれたもの。
調整無しでジャストフィットした精度に、周囲の野次馬から歓声が上がったとか(^^
それから、冷却器インテークが境界層を配慮したものに変わっているのと
翼端のウィングレットが目立つ相違点です。
心配されていたエンジンも交換したヤツは快調なようで、4周目にはもう全開飛行してました。
これで金曜日のブロンズレースが楽しみになりました。
昨夜はもう駄目だと思って、日本人プレス一同宿でヤケ酒でしたから・・・(^^;

順番が逆ですが、離陸するためにランウェイをタキシングしている様子です。
DBエンジンの爆音はここステッドにいるどのレシプロ機とも違う独特のもの。
二重反転ペラである事も影響しているのか、スズメバチの羽音のようにも聞こえます。
一部では、「Little Buzz」とも言われているそうで。
このネーミングは当初見慣れないデザインの新造機に対する疑問の象徴でしたが、
気がつけば他チームへの脅威の証みたいな意味に変わっていました。


9/15(金) 今日はブロンズファイナル、早朝からパイロンバスでウェストパイロンへ向かいました。
トニーさんのシルバークラスを見届けるためです。
トニーさんは、新型プロペラの効果かシルバー4位と大暴れ。明日のファイナルが楽しみ。
リバース・スタートが無くなったのも大きいはず。

そしてブロンズファイナル、ついにきた最後のチャンス。
このブロンズクラスで勝てば文句なしシルバークラスへ昇格です。
予選でつまずいた“ファイアバードU”にとっては後がありません。
スタート直後、猛然とダッシュをかけるFbU、素晴らしい降下加速でF7Fを追い詰めます。
反対側の我々からは見えませんでしたが、スタンドの歓声で何かが起こったのは分かりました。
そして・・・

ウェストパイロンに来たときにはもう完全にかわしていました。
そのまま“ファイアバードU”は先頭を飛ぶ“プレシャス・メタル”へ迫ります。

まさかリノで二重反転ペラ装備機同士の対決を拝めるとは!独特の爆音が二重奏です。
追いつかれた“プレシャス・メタル”は牽制することなく真っ向勝負。
二機の差はどんどん縮んでついには翼が重ならんばかりの超接近戦に。
元々“プレシャス・メタル”の飛行ラインはちょっと他機と違う独特のものだったのですが、
接戦を重ねていくうちに荒蒔さんの操縦が変わったのか
どんどん両機のラインが重なっていきます。

そしてついに“プレシャス・メタル”をかわす“ファイアバードU”!
と、思ったのですが、その直後“プレシャス・メタル”は高度をとって戦線離脱。
どうやらエンジンのミスファイアで、この写真でも薄く煙を引いています。
去年目の前でミス・アメリカのエンジンブローを見ているだけに一瞬ドキッとさせられましたが
無事着陸して一安心。いやー物凄いガチンコ勝負でした。
これでブロンズ1位を獲得して明日のシルバークラスへ昇格したFbU、心なしか
夕方訪れたピットでもチームの雰囲気が明るくなったように見えます。
唯一心配なのが、姿をみせなかったチームオーナーのリズ嬢。
秘書のシルヴィアさんも、クルーのジゼルさんも詳しいことは話してくれませんでした。




9/16(土) 午前中、“ダゴ・レッド”と“ファイアバードU”が一緒にランプに並んでいました。
何でもTVの撮影用に特別に配置したそうです。


やはり注目度の高い機体同士の2ショットだけあって人だかりが凄い。
こうして見るとあらためて“ファイアバードU”のコンパクトさに驚かされますね。
意外と仰角が無い姿勢なので、着陸時にプロペラをこすらないようにブレーキには気を使うそうです。
パイロットが日本人なのでこう言う細かい事まで教えてもらえたりします(^^



 午後のアンリミ・シルバーレース、“ファイアバードU”はゴールド昇格を賭けて
#190“ワイルドシュライク”と接戦を繰り広げます。これはウェスト(第7)パイロンで撮られた物です。
もちろん、こんな凄い写真は私のコンパクトデジカメでは撮れる訳もなく、藤森氏が撮った絶妙のショット。
この次の最終ラップ、明らかにドリフトを使った“ファイアバードU”は
“ワイルドシュライク”をかわしてギリギリでゴール。パイロンにいた日本人プレスから歓声が上がりました。
いやもう思わず叫んでましたよ、途中までは完璧に押さえ込まれていましたから。
聞いたところによると、最終ラップでパイロットにオーナーのリズ嬢が一喝したそうでΣ(°Д°)
いやはや、あのドリフトはそれでとっさに出たんですかね(笑)

晴れてゴールドクラスの仲間入りをした“ファイアバードU”。
エンジン調整のためにランプに出てきていた二機の王者と揃い踏みです。
こうやって並ぶと、首脚式の“ファイアバードU”の特異性が際立ちます。
プロペラ先端も地面ギリギリで、首脚のサスペンションがガチガチに固めてあると言うのもうなずけます。
大会期間中は“ファイアバードU”のテント周辺は頻繁に人が訪れ、
各チームのスタッフが興味深そうに見物していました。
基本的にはオープンなリノの流儀にのっとってと言うことでしょうか、
オーナーのリズ嬢が説明している姿も何度か見かけました。
それにしても、まだティーンネイジャーの金髪美少女が
ヒゲ面マッチョのおじさんたち相手に対等に話している姿は見ものでした。
サインもらっとけばよかったかなあ・・・。




後編に続く