RENO AIR RACE 2007体験記
RENO 7日目(その2)
さすがにファイナルだけあってパイロンバスはプレスの皆さんで大混雑。それを見越して早めにバスに乗ってうつらうつらしてたら写真撮られました(^^;
パイロンでは竹光氏から託されたビデオを回すので、カメラはもっぱら空を撮ってばかりだからさぞかし周囲の人からは奇特なものに見えたでしょう。
そうやってスポーツ、T−6,ジェット、アンリミシルバーとレースを消化していきます。スタンドの裏にそびえる山を越えてスタートするジェットや
アンリミは、スタートではまさにこちらに突っ込んでくるので大迫力! ただ、ほんとに真上を通過するためビデオで撮っていると背骨の可動限界を超えてしま
うのがツライ…。

第二パイロン、通称「イーストパイロン」です。電柱の先の白いドラム缶の高さを機体が700キロ以上で駆け抜けていきます。
でも苦労しただけあってまるで映画のようなシーンが撮れました。
スポーツクラスではネメシスが、T−6ではミス・ミッドナイトVが優勝し、いずれも初優勝。例年通りとは違う波乱はここから始まっていたのかもしれません。
そうやって徐々に盛り上がっていくファイナル、しかし同時に祭りの終わりが近づく寂しさも盛り上がってきます。これは最終日ならではの感情です。
これはシルバークラスの待機状況
そしてついに始まるアンリミテッド・ゴールドファイナル。山の向こうで白煙がたなびき、横一列に並んだ黒い点がゆっくりと近づいてきます。
そしてペースプレーンが上昇をかけ、熱戦の火蓋は切られたのです。
我々めがけて突っ込んでくる合計何万馬力もの咆哮、それはあっという間に近づいて空気を破りとって行きました。先頭は大方の予想通りセプテン
バー・フューリーだったのですが、昨日のファイナルと違っていたのは2位につけるレア・ベアがかなり肉薄していたこと。そして、山の向こうに消えた機影が
見え始め、さらにはバックストレートに入った頃、その順位は入れ替わっていました。ちょうど我々がいるところからそのシーンはパイロンバスにさえぎられて
はっきり見えなかったのですが、バスの影から出てきたときそれははっきりと分かりました。
レア・ベアがトップに!
どよめきがプレスの間からも湧き上がります。このときスタンドにいた竹光氏によると、トップでレア・ベアが来た時のスタンドの観客のどよめきは凄まじかったそうです。
トップに立ったレア・ベアはそのままの勢いでセプテンバー・フューリーを引き離していきます。溜めに溜めていた力を解放するかのようなその速さに、セプテンバーフューリーは怒りの咆哮とも思える迫力の低いラインで追いすがろうとしますが差はなかなか縮まりません。
一方三位はドレッドノート。そして4位争いをリフ・ラフ・チェックメイト・スピリット・オブ・テキサスの三つ巴で繰り広げていました。
ちなみに我らがヴードゥーは早々にリタイヤ・・・来年に期待しましょう。
周回を重ねてもトップ二機の位置関係は変わりません。そしてついに最終ラップ、音をあげたのはセプテンバーフューリーでした。白煙をひいて上昇し、エマージェンシーで降りてきます。一方のレア・ベアはそのままゴールし上昇していきます。
こうして今年のアンリミテッド決勝は幕を閉じたのでした。
表彰式に間に合わせるためにパイロンバスはすぐに出発します。あわただしく乗り込み会場に向かっているとバスが止まりました。
何事かと思って窓の外を見るとレア・ベアが緊急着陸しようとしていたのです。
コースを斜めに横切る緊急用滑走路に、普段では考えられない角度と速度で下りてくるクラゲ様、息を飲んで我々が見守る中、滑り込んだとたん歓声が上がります。それほど見事な緊急着陸でした。

ランプに戻ると、優勝した機体を迎えるべく人が集まり始めています。しかし、当の優勝したレア・ベアは緊急滑走路に降りてしまってまだはるか遠く(^^
機体が無い状態で一足先に帰ってきたジョン・ペニー氏を囲んでインタビューが始まります。
なかなか始まらない表彰式に業を煮やした我々は、今のうちにとランプ西側に止まっているセプテンバーフューリーの様子を見ることにしました。
機体の回りには既に野次馬が集まっています。我々もそこに混じって様子を伺うと…想像以上の惨状がそこにありました。

美しいファイヤーパターンが焦げ付くほどの痛々しいダメージ、通常のエンジントラブルでは考えられないほどの悲惨な傷跡です。特に右側側面は火ぶくれを起こし、その範囲も広がっています。
見たことも無い惨状に声が出ません。周りのスタッフも沈痛な表情をしていて、そのダメージの深刻さが伺えます。
去年のパーフェクトな勝ちっぷりを見ているだけにこの悲惨な状態は正直目の前にしても実感がわきませんでした。
隣には戦線離脱したヴードゥーがいて、パイロットのボブもちょうどいました。ていうかランプでチキン食ってますよこの人(笑)
右手に注目!(^^;
聞いたところではたいしたダメージではないそうで、大事をとってリタイヤしたと言うことなので一安心です。
再びセプテンバー・フューリーの元に戻ると、なにやら見慣れてしまったシルエットの御仁が。ビル・ロジャース再びでした(^^ この人もスコッティ並みにどこにでもいるなあ。
ふとスタンドの方を見ると、やっとレア・ベアが帰って来たようなのでとんぼ返りします。もう既にそこは人だかりで写真が撮れるような状態ではありませんでした。下馬評を覆した勝利にチーム全体が酔いしれています。
しかし、近づくとレア・ベアも無傷の勝利ではないことがはっきり分かりました。

カウリングに分厚く塗られた表面処理用のパテが大きくはがれています。しかもその破片がぶつかったのか主翼付け根のインテイク部がへこんでいまし
た。色々聞いた話を総合すると、どうやら早いうちにエンジントラブルが起こっていて、その衝撃でカウリングのパテがはがれてその破片がエアインテイクから
入り込んで吸気系にダメージを与えてスロットルが戻らなくなっていたとか(!)緊急着陸したのはエンジンカットせざるを得なかったからだそうです。
えーと、ちょっと待って…それってもしかしてあのスタートダッシュは当の本人にも予想外の全力だったって事?それに引っ張られて全力で飛ばしてしまったセプテンバーフューリーともども我慢比べになってしまったと言うことなのか?
うーん、これはすごいガチンコの壮絶な相打ちレースだったんだなあ…それでかろうじて最後に立っていたのがレア・ベアだったと。すげえや。

実はその喜びの場にはあのトム・ドゥエリー氏がいました。氏の愛機、「クリティカル・マス」のエンジンがレア・ベアに搭載されて優勝したんですか
らはしゃぎたくなるのも無理ないですね。セプテンバーフューリーの短縮主翼もクリティカルマス由来なわけで、どっちが勝ってもオヤジさんは駆けつけたので
しょう(笑)
余韻を引きずりつつ帰ろうとした我々がふと振り向くと、一人のフライトスーツ姿の男が近づいてきます。あれって・・・スティーブ・ヒントン?!
まさにスティーブでした。忙しい身のスティーブが一人でいる機会なんてそうそうあるもんじゃございません、意を決して声を書けることにしました。
ヒントン氏は見たとおりの気さくなお方、同人誌の最初のページにあるあの「レッド・バロン」の世界速度記録を記したディプロメを喜んでくださいま
す。自分も伝説を担った男に本を渡すことが出来てその偶然に感動していました。しかもサインまで頼まれてどうしたものやら。震える手で同人誌の表紙にサイ
ンして本をお渡ししたのです。
日が傾き、祭りの終わりを感じさせる風景を横目にプレスルームに行くと、ここも来年の再開を誓い合う言葉で満ちていました。
考えてみれば、アメリカ全土、そして世界中から飛行機が好きでたまらない奴等が集まって年一回のの同窓会をしているのです。特に今年は色々とあっただけに感慨もひとしおだったかもしれません。自分もいろんな方に再会を約して別れを告げました。
特に印象に残ったのがマリリン女史。プレスの駐車場でお会いし、挨拶したところ帰りはくれぐれも気をつけるようにと優しい言葉をかけられました。彼女も、長年リノを見てきた生き証人の一人として今回の度重なる悲劇に心を痛めていたのかもしれません。


またかと思われるでしょうが、この最終日も夕飯は中華でした(^^
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